どんな話し方についてか
人が話しているのを長々と聞く機会があったので、ちょっと内職して話し方について考えてみた。その時のメモ。メモなので網羅しているわけでも分析しているわけでもありません。多少整理しているだけだけれどもお許しを。
ただし、講義や演説のように聞かせる話を主にターゲットにしている。すっきり綺麗に伝え楽しくやることを主眼にしている。
発想のための、発散的な会話とは異なる
最初に注意書き。
話の体裁がぐちゃぐちゃになっても良いから結果やアイデアを引き出すための話をするとき、例えば一人で考え事をするときや思いつきを拾うとき、それを複数人数でするとき、激しい議論をするなどのときは、このメモに書いたことを度外視してすることになる。重点が違うのだ。
以下で書くことは、基本的に整理されたものを伝えるためのもの。
他の話すシチュエーションでも応用できるものがあるけれども、その時には取捨選択が必要。
ちゃんと体裁を整える
書いた文章と異なり、話したことを後から綺麗に清書…という訳にはいかない。最初から綺麗な部品を作っておく、話の組み立てをストックしておく、もしくは話を完全に作ってくるといった準備が必要になる。
今回人の話を聞いていて気になったのは、次の点か。
- いらないことを言わない。やたら挿入句を使わないでくれ…
- 語尾の癖(すっきりしたものを選ぶべし)。やたらに同じ語尾(ex.「ね。」)を頻繁に挟まれてうっとおしい。
- no hesitation!! (言いよどまない)。話の最初に少し準備時間をおいた上で、話の間間にほんの少しポーズを置いて落ち着いて整理された言葉を出して欲しいと思った。
前提
安定と不安定のギリギリのラインを突っ走るような、スタンドプレイの曲芸のような話し方は避ける。
緩急をつける。書くことに対応させて考えると、重要度、焦点によって書き方、レイアウトや装飾を変えるように、
よく知っていることや自明な接続詞は早口でも良い。
知らないものや大切なものにはゆっくり話す、口調を変えるなどの装飾をする。
編集整形済みのものを出す。殴り書きのようなものを出さない。すべて準備済みというわけではなくても、話している中で組み合わせるときでも、ある程度定型の表現を使うこと。できれは話の中身以外は、準備したものを固定して使うこと。
呼吸の仕方、話し始めの口の準備などぐらいから、口調の体裁(文体、に近い)、よく使う定型の話の組み立て(例えば、言いたいことを提示して、理由をいくつか挙げてまとめる、など)ぐらいまで。このあたりは定型で良い。
少し具体的に考える
書いたもので例えると…一貫したデザインをもたせること。
何を赤色に塗るか、どのような空白を置くか、コントラストはどうするか(話であれば、口調、激しさ、厳しさ、穏やかさ、リズム、テンポ、繰り返し、語尾、色々な要素に跨る)。
具体的に言えば、定義には定義の、注意には注意の、小話には小話の、警告には警告の「レイアウト」を用いること。つまり口調や語気などを変化させること。
脳内の文具を使って書くかのように、細かくきっちり綺麗にやる。
文章レイアウトの空白には種類があり、意図があるように、話すときの間にも種類と意図をもたせる。スペース以外に:,;,/等があるように、細かな編集要素に意図を明確にもたせる。
低レベルなこと
くだらないことというのではなくて、声やリズムというより下位のレベルのこと。
声そのものがもつ効力に注目すること。話ではなく、朗読や歌の観点から考え直してみること。気分を上げたり下げたり、その上昇下降のカーブも考えてみる。声色、リズム、などの要素も重要。
文は、長すぎず短すぎず。短い文の不用意な連発も長い文と同じく、リズムを損なってしまう。
言葉は「はっきり、しっかり」特に重さをもって。薄い板書が見づらいように、太さ・芯をもっていない声を聞くのは「面倒くさい」。
TPOに合わせた緊張感をもつ言葉づかいをすること。場違いにならないこと。
雑談をしているのか、真剣な問題について話しているのか、公式な発表をしているのか、小さな子に優しく接しているのか、対等の立場で議論をするような雰囲気なのか。その辺は意識して区別。
話の組み立て
各場面で中心となることを言う。目的を明確に提示する。話の内容の重点であったり、話の流れについてであったりと様々だが、そこでの話の目的を明示せよ。
ナビゲーションする。今している話がどの部分の話かという位置づけを、誰でも当然知っているというぐらい当たり前のことから始めること。特に自分や自分の属する集団の暗黙の前提から黙って始めてしまうのは駄目。そこから、どういう話の流れかを大まかに伝えること。
3~5要素程度のものをつなぎ合わせるのがせいぜい。それ以上は覚えてられない。
枢軸語を紹介すること。何のことかというと、話の中でいつも出てくる題材のこと。それは例であったり、登場人物であったり、注目すべき要素であったりする。話の軸。これが主題(言いたいこと)の一部であるときもあるし、そうでないこともある。それを人物紹介でもするがごとく、最初の方に提示し、それが軸であることを伝えること。
迫力
聞いている側に入ってくるほどの迫力を持った声。声の大きさを伴うこともあるが、大きさとは直接関係はない。口調や声のトーン、地を話しているということ、熱意など、話についての話し手の情緒が発露するような要素に関係していると思われる。
話している各場面で、各部分で、自分の動機に「接地」していることが重要。なぜこの話をしているか、これを見せているか、という意図や技巧に加えて、各部分に自分の動機が、魂が入っていること。
動機を練り込むだけではなく、その楽屋裏まで公開してしまうとコミカルになる。話の組み立てや、背後の活動をするときには本音、綺麗事でないこと、アホな考えや、どうでも良いことも湧いてくるが、その内いくつかを話のシンプルさを失わない程度にテンポ良く入れるのはなかなかの効果がある。
静かな口調は話の入りなどで用いるが、使い方は難しい。相手に対して「引いている」…伝えることよりも、気を回すことに腐心する…ようであれば、眠たくなる。静かな口調で確実に引きつけて伝えるのは、音楽で言えば簡素な曲を魅力的に弾くように難しい。優しい感じのものよりも、様式美をもった厳かなものの方が若干簡単な気がする。
他の要素
話すことに付随する、細かなことに見えること(身振り手振り、目の玉の動き、体の姿勢など)についても、それぞれ効果を意識して意図を持たせること。
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