小利口で勤勉、頭の回転が速そうだけれども昆虫みたいな思考しかできない人間っていますよね。
それ以外にも、正義や利益を振りかざしているけれども、やっぱり馬鹿なんじゃないの?? と思わざるを得ない人に時々出くわしますね。いつも言っていることはそう間違ってはないし、善意にあふれる行動が多い、でも、やっぱり根本が見えていない馬鹿じゃないかと思うことが。
彼ら・彼女らは、すぐに
- 社会のルール、
- 分かりやすい利害、
- 道徳や倫理、
- みんなが信じていること、
- 個人的な信念、
- 誰かの思想
…を持ち出して、話をそこに帰着させて、話の決着をつけようとするんですな。
こういう人間は、まったくもって賢くない。
なぜか??
彼らは考えたり行動したりするときに、目標にたどり着こうとしているはずなのに(?)
- 自ら理性的に目標設定ができない。ただ《信じている》ことに向かってゆく
- 目標達成にふさわしい「物事の良し悪し・重要度の設定」を自ら作り出せずに、「良い」と信じてこんでいることを無暗に実行する。
#「物事の良し悪し」: 「何をしたらいい」「何をしたらよくない」というようなこと
結果的に、やっていることが的外れで、世間的には良いとされていることをしているのにもかかわらず、何か馬鹿げた印象を与える。さらには、目標達成が主で重要度や中途目標の設定は従ということが分かっていないという頭の固さ・勘違い加減も馬鹿げた印象を与えるのだろう。
彼らは大局的に物事が見れないどころか、物事の良し悪しや価値基準について極めて感情的・感覚的であり、ありがちな価値観に何の疑問も持たないので価値を自分で見極めて設定することもない。何がどのような重要度を持つかについての冷静な思考に欠けている。ある思想や信念への盲目的服従をしているという実感すら持てていない。従って往々にして自分のいる社会・会社・コミュニティや学校に染まってしまいう。ちなみに「どうしたらいいのか」ということを人に教えて貰っているばかりの人間はこれに陥りがちだ。
脱線: 「無能な働き者。これは処刑するしかない。」(←ゼークトが述べたと「されて」いる)とはよく言ったものだが、ここでの文脈で言い換えるのならば、「目標や価値の設定が自分ではできない勤勉な人間は、処刑するしかない」となるだろう。
知能の計り方は難しいけれども、知能の一つに目標に向かって収束的に考えられるというものがある。情報を集約し目的に至る道筋を作り上げる能力といってもいい。反対に拡散的・発散的な思考ができるというのは、多くのものを考え付いたり、飛躍的な発想ができるというようなことを指している。
ここで彼らが賢くないというのは、収束的な知能の意味で(ですら)賢くないという意味だ。
そして彼らが賢くないのは、行動に必要な《価値観の選び方がデタラメ》だからなんだ。
たとえどんな立派な価値観を掲げていても、見当はずれのものを持ち出しているのだ。そこだ。
ゴール設定から行動の指針まで、目的のために考え抜いて選べない。彼らは《信じている》。考えてはいない。
目的に至るためには、最終的なゴールを設定できて、ゴールにたどり着いた時にゴールの真贋が見分けられないといけない。
ゴールにたどり着くまでは、途中のゴール・経由地点をうまく決めなければならないし、どの方向に進むかの指針が必要になる。
経由地点や行動の指針は「どんなことは良いこと」「どんなことは悪いこと」というある種の価値観である。
経由地点や行動の指針の選び方は、どんなに立派か、どれだけの人が支持しているか、そんなことで選ばれるべきものではない。最終的な目標の達成を支持するものかどうかによって選ばれるべきものなのだ。どのような価値づけをするとうまくいくかを大局的に考えて、物事の良し悪しを決めるのだ。
教条的なバカ、真面目なバカ、勤勉な無能はこの辺りで(壊滅的に)間違っている。価値を固定して物事に当たるのではなくて、物事を成し遂げるために適した価値付けを行うのが目標達成に至る道だ。
無暗に偶然出くわした誰かの思想に染まったり、個人的な信念に執着したり、固定された社会のルール、道徳や倫理、みんなが信じていること、分かりやすい利害(広まりやすい)を無批判に鵜呑みにするなんて、最終的な目標の達成をまともにやろうとしている人間のすべきことではないのは、ここまで読んだ人になら自明のはず。安易にありがちな価値観に話を帰着してしまうのが、成績の良し悪し、善人悪人に関わらず大抵の小利口な人間のすることなんだ。
#何千年経っても役に立つ普遍的な価値付けというものも存在するが、何でもかんでも価値観を固定するのは馬鹿。
#答えへの道筋の探索については、コンピュータサイエンスの「ヒューリスティック・サーチ」について見てみればすっきりすると思う。
参考: 思考停止については、はてなキーワードが手短にまとめているので参照。
d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%D7%B9%CD%C4%E4%BB%DF
思考停止 しこうていし
考えるのをやめること。
あるいは、あることに対する判断を放棄して、既成の判断を無批判に受け入れること。
「短絡的な反応」「脊髄反射」「固定観念に基づく判断の枠組みを超えていない」「状況の変化にもかかわらず、以前の方針をそのまま当てはめる」状態を指し、議論において極めて批判的に用いられる。
この思考停止の解説は、ずいぶんと露骨なパターンについて書いてくれているけれども、生活の隅々にまで思考停止、とくに価値観を鵜呑みにする害悪は蔓延している。
『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本』も硬直化する日本の現状を描き出していて、興味深い。
Similar Posts:
- 【思考】【想像力】狂気のレベルづくりのためのリスト(試案)
- 【社会】盲目的な「きっちりするのは善」という風潮は社会を停滞させている
- 【思考】【学習】どうすれば、抽象的なことが分かるようになるか
- 【教育】学生・生徒をどこまで補助するか、のリスト (試案)
- 【教育】昨今の学校教育は「ガキの使い」を量産している